有酸素運動とレジスタンス運動

Aerobic Exercise And Resistance Exercise

有酸素運動とレジスタンス運動

 運動には有酸素運動レジスタンス運動があります。有酸素運動はウォーキングやスイミングなど、長時間続けられる運動です。レジスタンス運動はいわゆる筋トレです。「運動を始めみましょう」と言われると、「じゃぁとりあえず歩いてみようかな」と有酸素運動を始める人が多いのですが、実はレジスタンス運動も有酸素運動と同じくらい大事なのです。意外かもしれませんが、高齢者には有酸素運動よりもむしろレジスタンス運動の方が体に良いということも分かっています。もちろん有酸素運動とレジスタンス運動、両方とも取り組むのがもっとも効果的です。

有酸素運動

 有酸素運動は、はじめにご説明した通り、ウォーキングやスイミングなど、長時間続けられる運動です。カロリーを消費しやすいため、特に体重を落としたい方にはお勧めの運動です。
 運動の種類は何でも構いません。続けられることが肝心です。あまりご自身の性に合わない運動というのは続きませんから、何か自分に合っている運動を探しましょう。外を歩くのが好きならばウォーキングが良いでしょうし、人と接するのが好きな方ならジムのエアロビなどに通うのも良いでしょう。好きなスポーツがあればそれで構いません。逆に運動を苦手に感じる方であれば、ご自宅でできるエアロバイクやウォーキングマシンがお勧めです。テレビを見ながらでもできるので、苦手な方でも飽きづらいと思います。
 有酸素運動はたくさんやればやるだけ効果が出るといわれています。ただ、最初から頑張りすぎてもかえって3日坊主になりやすいものです。運動は続けないと意味がありません。初めのうちは、1日10分、もしくは5分でも構いませんから、なるべく毎日やる習慣を身に着けるようにしましょう。

レジスタンス運動

 レジスタンス運動はいわゆる筋トレです。筋トレは筋肉を大きくする効果があり、痩せている方、筋肉が少ない方、高齢者にお勧めの運動です。特に高齢者に対しては、転倒・骨折や寝たきりの予防効果もあり、認知症の予防効果があるとも報告されています。
 筋トレをお勧めすると、腕のダンベル運動や腹筋を始める方が多いのですが、実はどちらもオススメの運動ではありません。腕や腹筋(いわゆる腹筋で鍛えられる腹直筋)は、全身の筋肉の中でも比較的小さな筋肉なので、鍛えても全身への影響はあまり大きくないのです。筋トレでオススメなのは大きな筋肉を鍛えることです。具体的には太もも~体幹の筋肉で、メニューとしてはスクワット、背筋、腕立て伏せになります。
 

筋トレのコツは、まずは10回3セット、つまり「10回やったら1分休む」を3回繰り返します。体力のある方の中には、「腕立て100回やってるんだ!」という方もいらっしゃいますが、実はこれも効率が良いやり方ではありません。10回3セットでキツイくらい、4セットは無理だな、というくらいに負荷をかけて運動するのが効率的です。理想的な筋トレは、次の日に筋肉痛になっていることです。筋肉痛は筋肉が壊れているサインなのですが、この壊れた筋肉が修復されるときに、前よりもより丈夫な筋肉になるのです。筋肉痛になっているときに筋トレを重ねても意味がないので、筋肉痛が治まってから次の筋トレをします。ですから、同じ部位の筋トレは週に2-3回が理想的です。ただし部位を変えれば毎日やっても問題なく、例えば月・木は腕立て、火・金はスクワット、水・土は背筋、などとするのも良いでしょう。
 有酸素運動と同様、続けなければ意味がありません。「月・木は必ずやる」とか、「週2回は必ず筋トレをする」などといった自分なりのルールを作って、それを守るように続けていくのがお勧めです。
 レジスタンス運動はできればジムに通って行うのが理想的です。マシンを用いた方が安全で効率的ですし、知り合いやトレーナーと一緒に行うことで、続けていくモチベーションにもなります。ただ、現在はコロナの流行もあり、ジムに通うのは憚られる方も多いでしょう。ご自宅でできるレジスタンス運動については、次回以降にご説明します。

適した運動は個人差がある

 はじめに有酸素運動は体重を落としたい方、レジスタンス運動は高齢者にオススメ、とお伝えしましたが、これはあくまで一般論です。一見体重が多くても実は筋肉量が少ない方もいますし、高齢者でも脂肪が多く有酸素運動が必要な方もいます。また合併する病気(心臓病や関節の病気など)によっても、適した運動は異なります。
 当院では実際に全身の脂肪量と、筋肉量を部位別に測定することで、お一人お一人に最も適した運動を指導しています。検査自体はごく簡単にできますので、ご自分にどんな運動が合っているのかを知りたければ、ぜひ一度ご相談下さい

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