サプリメントについて

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サプリメントは体に良いの?どのサプリメントが良いの?

皆さん、糖尿病が心配だったり、糖尿病と診断されると、「サプリメントを飲んでみようかな」と考える方も多いかと思います。でも世の中にはいろんな種類のサプリメントがありますよね。どのサプリメントが良いのでしょうか?

結論から言うと、どのサプリメントもあまり意味はありません。いわゆるトクホなども同様です。なぜでしょうか?詳しく説明していきましょう。

サプリメントは食品

世の中様々なサプリメントが市販されていますが、共通するのは全てただの「食品」であるということです。

皆さんが一度はCMなどでも目にしたことのある、有名な某ダイエットサプリのホームページにもこう記載されています。「サプリメントは薬のように即効性があったり、病気の治療を目的としたものではなく、『食品』です」。要するに、あくまでただの食べ物なのです。サプリメントに限らず、ある特定の食品が糖尿病に良い、というような口コミもよく流布されていますが、根拠のあるものではありません。そんな手軽に病気の予防・治療できるなら、誰も苦労はしませんね。

ただの食品であるサプリメントがあたかも糖尿病の予防に役立つように宣伝するのは違法です。ですから「糖尿病を予防します」というサプリメントは違法ですし、実際にそう宣伝はしているサプリメントはないと思います。「血糖が気になる方へ」などとあいまいな表現を使ってごまかしながら宣伝していることがほとんですね。
でも効果が無いだけならまだマシです。中には紅麹菌サプリのように、重篤な健康障害を引き起こすものまで混じっています。

トクホとか機能性表示食品って?

ただし例外として、食品の中でも、病気の予防や健康の維持に一定程度の効果が期待できるものに関しては、国が審査をして効果の表示を認めた「特定保健用食品」、いわゆるトクホというものがあります。その中には「食後の血糖値の上昇を緩やかにする」という表示が許可された食品もあります。このほとんどは、難消化性デキストリンといって、いわゆる食物繊維を添加した食品です。確かに食物繊維を取ることで血糖が上がりにくくするのは間違いがありません。

ただ、残念ながらその効果というのは大したものではありません。例えば「キリン 午後の紅茶 ストレートプラス」の試験では、食後30分、60分、120分で採血をしていますが、30分後の値のみ多少下げましたが、60分、120分後の血糖値は下げなかったようです。30分だけ血糖を下げるのにどこまで意味があるでしょうか?ですからトクホもやはり「病気の予防、治療に役立つ」と宣伝してはいけないことになっています
(※)。どのトクホもあくまで「血糖値を上がりにくくする」といった表現がされているだけで、「糖尿病を予防できる」とは言っていませんね。つまり裏を返せばどのトクホも、糖尿病を治療したり予防するような効果は証明されていない、ということです。

(※2つだけ例外があって、糖尿病ではありませんが、トクホでも例外的にカルシウムは骨粗しょう症の、葉酸は胎児の二分脊椎の予防効果があることが分かっており、表示することができます。)

「機能性表示食品」というものもありますが、これはトクホよりさらに根拠の劣るものです。トクホは国が個別に審査をして機能の表示を許可した食品ですが、機能性表示食品というのは国が審査をしたわけではなく、あくまで販売する会社の責任において、機能性を表示しただけのものです。ですから機能性表示食品には必ずこう記載されています。「疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません」。つまり糖尿病の治療や予防効果を期待できるものではない、ということなのです。

処方薬は最高の”サプリメント”

さて、トクホや機能性表示食品も含めて、サプリメントはあくまで健康に良いかもしれない食品であって、糖尿病の治療や予防を期待する人が食べるものではない、と国も公言しているということを説明しました。ですが、「薬には頼りたくないからサプリメントを飲む」なんて言う方もいます。では薬は体に良くないものなのでしょうか??

もちろんそんなことはありません。例えば糖尿病治療薬の中にはαGIという種類のものがあり、食後の血糖を抑える薬です。先ほどのトクホの難消化性デキストリンと効果はそっくりですが、その強力版といった感じです。トクホは国の認可を受けています。例えば難消化性デキストリンを有効成分とするキリンの午後の紅茶ストレートプラスは24名の健康的な方を対象に試験をしています。ではαGIの一つ、「セイブル®」はというと、まず40名の健康な方を対象に試験して、食後30分、60分、120分の血糖を全て抑制することを確認しています(トクホは30分しか抑制しませんでしたね)。さらに85名の糖尿病患者さんで同様の試験をした後、さらに様々な条件下で合計847名の糖尿病患者さんで効果を再確認しています。たった24名で1回しか検査していないトクホと比べ、どれだけ厳格に検査をしているかわかるでしょう。このように、処方薬というのは繰り返し、厳密に検査をすることで、糖尿病の治療効果がはっきりしたものだけが認可されているのです。

皆さん薬という名前だから何か嫌なイメージをもってしまうのだと思います。確かに、薬の中には痛み止めや抗生物質のように乱用すると体に害を及ぼす危険があるものもあります。でも糖尿病のお薬はちょっと違います。そもそも、糖尿病患者さんというのはいわゆる「病人」ではありません。どこか痛いとか具合悪いわけではなく、ぱっと見は健康的に暮らしていますよね。でも糖尿病をしっかり管理しないと、将来脳梗塞や網膜症などの合併症を起こしてしまうので、その予防のために治療しているわけです。ですから、糖尿病のお薬も糖尿病を治してしまう治療薬ではありません。血糖値を抑えて合併症を予防するための予防薬なのです。今は健康な人が、将来病気にならないように服用するもの、これは普通サプリメントと呼びますよね。実は糖尿病のお薬こそが最高のサプリメントなのです。糖尿病のお薬は、トクホよりもずっと効果が高く、それを国が繰り返し試験をして効果に太鼓判を押したものなのです。

しかもトクホと違って薬は70%オフで購入できます!80%オフ、90%オフになる場合もあります。と宣伝するとちょっと語弊があるかもしれませんが、大半の方は薬局での自己負担割合は3割ですよね。高齢者の場合は2割や1割の方もいます。本来の価格よりずっと安い負担でお薬を処方してもらえているわけです。そういった補助のないサプリメントやトクホに比べると、処方薬の方がずっとお財布に優しいですね。

ここでは糖尿病のお薬を例に挙げましたが、高血圧のお薬や、脂質異常症(高脂血症)のお薬も、まったく同じです。どれも病気を予防して健康的に過ごすための”サプリメント”です。

上手に薬と付き合いましょう

市販のサプリメントは値段も高くて、効果も弱くて、しかも根拠も薄弱で、病気の予防効果はない、ただの食品です一方処方薬は値段(自己負担)も安くて、効果もしっかりとしていて、国が繰り返し厳密に検査した、健康維持のための本当の”サプリメント”です。どちらを選ぶべきか、ここまで読んでいただいた皆さんにはお分かりでしょう。「薬」という名前のイメージだけで拒否してしまうのは、もったいないのです。

ただし残念ながら糖尿病は薬さえ飲めば良くなってしまうというものでもありません。正しい食事療法、運動療法と組み合わせて、初めて合併症の予防ができるのです。薬を飲んでいるからと油断してしまっては元も子もありません。上手にお薬と付き合っていきましょう。
 

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