ただし例外として、食品の中でも、病気の予防や健康の維持に一定程度の効果が期待できるものに関しては、国が審査をして効果の表示を認めた「特定保健用食品」、いわゆるトクホというものがあります。その中には「食後の血糖値の上昇を緩やかにする」という表示が許可された食品もあります。このほとんどは、難消化性デキストリンといって、いわゆる食物繊維を添加した食品です。確かに食物繊維を取ることで血糖が上がりにくくするのは間違いがありません。
ただ、残念ながらその効果というのは大したものではありません。例えば「キリン 午後の紅茶 ストレートプラス」の試験では、食後30分、60分、120分で採血をしていますが、30分後の値のみ多少下げましたが、60分、120分後の血糖値は下げなかったようです。30分だけ血糖を下げるのにどこまで意味があるでしょうか?ですからトクホもやはり「病気の予防、治療に役立つ」と宣伝してはいけないことになっています(※)。どのトクホもあくまで「血糖値を上がりにくくする」といった表現がされているだけで、「糖尿病を予防できる」とは言っていませんね。つまり裏を返せばどのトクホも、糖尿病を治療したり予防するような効果は証明されていない、ということです。
(※2つだけ例外があって、糖尿病ではありませんが、トクホでも例外的にカルシウムは骨粗しょう症の、葉酸は胎児の二分脊椎の予防効果があることが分かっており、表示することができます。)
「機能性表示食品」というものもありますが、これはトクホよりさらに根拠の劣るものです。トクホは国が個別に審査をして機能の表示を許可した食品ですが、機能性表示食品というのは国が審査をしたわけではなく、あくまで販売する会社の責任において、機能性を表示しただけのものです。ですから機能性表示食品には必ずこう記載されています。「疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません」。つまり糖尿病の治療や予防効果を期待できるものではない、ということなのです。