人工甘味料について

Artificial Sweeteners

炭水化物、糖質、糖類について

最近いろいろな食品に糖質ゼロとか、糖類ゼロとか書かれていることが多いですよね。これらの意味を理解するには、栄養素がどのように分類されているのかを知る必要がありますので、説明したいと思います。

 

炭水化物、糖質

まず食事の栄養素には三大栄養素、すなわち蛋白質脂質炭水化物があります。さらにこの炭水化物のうち、消化されない食物繊維を除いたものを糖質と呼んでいます。糖質という名前からは甘いものを想像してしまいますが、ごはんもパンも芋も、主成分は糖質です。炭水化物の大半は糖質なので、ほとんどの場合食物線維の分は無視してしまって、炭水化物≒糖質と考えてもらって差し支えありません。ごく一部の例外としては、こんにゃくの炭水化物はほとんどが食物繊維です。ですからこんにゃくは炭水化物は含んでいますが、糖質はほとんど含まれておらず、食物繊維は消化されないのでカロリーもほとんどありません。
糖質はさらに、「糖類」「糖類以外の糖質」に分けられます。糖類は、一般的に糖といったときに皆さんが想像するもので、ブドウ糖や果糖、砂糖といった食品の甘みのもとになるものです。
一方で「糖類以外の糖質」のほとんどは「でんぷん」です。実はでんぷんは糖類がたくさんくっついて鎖状になっているものです。そのままでは吸収できず、まずはバラバラの糖類に分解する必要があります。このバラバラにすることを“消化”と呼んでいます。ご飯をよく噛んでいると甘みが出てきますよね。これは唾液に含まれる消化酵素によってでんぷんが糖類に分解されているからなのです。つまりでんぷんも最終的には糖類となって吸収されるのですが、糖類とでんぷんには大きな違いがあります。でんぷんは消化に時間がかかるために比較的ゆっくり血糖を上げる一方、糖類は消化の必要がほとんどないために急激に血糖値を上げてしまうのです。ご飯と砂糖はどちらも糖質ですが、砂糖の方が血糖値に良くないのにはこういった理由があります。

 
 なお、デキストリンは様々な加工食品に使われている物質で、でんぷんを分解して作られますが、糖類ほどには細かくなっていない状態で、でんぷんと糖類の中間にあたる存在です。血糖の上げやすさも、糖類ほどではありませんが、でんぷんよりは強くなっています。また「難消化性デキストリン」は、通常のデキストリンとは異なり消化されない物質なので、食物繊維に分類されます。似た名前ですが、血糖の上げやすさは全くことなるので、注意してください。
 

オリゴ糖について

オリゴ糖にはいくつか種類がありますが、ほとんどは血糖を上げないと考えられています(ただしイソマルトオリゴ糖というオリゴ糖だけは普通に血糖を上げてしまいます)。腸内細菌で分解されて善玉菌の栄養となることで、腸に良い効果があるのではないかともいわれていますが、まだはっきりとしたことは分かっていません。砂糖と比べてカロリーも半分程度ですし、血糖も上げませんので、砂糖の代用とする分には良いと思います。あえて積極的に取る意味があるかというと、それはちょっと微妙なところです。

気を付けなければいけないのは、オリゴ糖”入り”の食品は血糖を上げてしまうということです。商品名に「オリゴ糖」と入っていても、実際にはオリゴ糖は成分の僅か数%で、ほとんどは砂糖など他の糖が使われている商品も多いのです。こういった商品は当然血糖を上げてしまいます。てんさい糖もこういったオリゴ糖”入り”の食品の1つで、確かにオリゴ糖も若干は含んでいますが、ほとんどは普通の砂糖ですから、当然血糖も上げてしまいます。オリゴ糖の商品を購入する際は、オリゴ糖100%なのかは十分に注意して購入するようにしましょう。

まずは「糖類」に気を付ける

 ですから結論を言うと、まず気を付けるべきは食べ物の中でも特に血糖を上げやすい、糖類を減らすこと、これが食事療法の基本です。つまり簡単に言えば、菓子、ジュース、菓子パン、ジャムなどの甘いものを減らしましょう、というだけのことなのです。

 最近は様々な工夫で「糖類ゼロ」にしてある菓子類もありますので、普通の菓子類を糖類ゼロのものに換えてみるのも一つの手でしょう。ただし「糖類ゼロ」でも糖質はゼロではありませんし、脂質などもたくさん含んでいるものが多いですから、食べすぎれば血糖を上げたり太りやすくなってしまいます。糖類さえ入っていなければいくら食べても良い、というわけではないので、注意しましょう。血糖値と栄養の関係を理解して、正しい食事療法を行いましょう。

 当院は常勤の管理栄養士が在籍しております。食事療法について疑問に思うことがあれば、いつでも栄養指導を受けることができますので、お気軽にご相談ください。
 

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