そもそも糖尿病は生活習慣病なのに、なぜ薬が必要なのでしょうか。それは糖尿病が、実は生活習慣以上に体質が原因の病気だからです。確かに食生活の乱れや運動不足は糖尿病の大きな原因です。しかし、現代人で甘いものを全く食べないという人も滅多にいませんし、週150分以上の運動のための時間がある、という人の方が珍しいくらいです。でもそういった現代の日本人が全員糖尿病になるわけではありません。糖尿病の方の多くは、一般的の人とそれほど変わらない生活をしているにも関わらず、糖尿病になってしまうのです。それは体質が原因です。特に日本人は糖尿病になりやすい方が非常に多く、欧米人と違ってそれほど極端に太っているというわけでもないのに糖尿病になってしまう人が非常に多いのです。実際に当院の外来に通院している方の中にも、ちょっとした中年太り程度や、むしろ痩せ型なのに、糖尿病になってしまっている人がたくさんいらっしゃいます。
体質というのは生まれ持ったもので、例えば髪の色をご自身の努力では変えることができないのと同様に、糖尿病になりやすい体質というのも残念ながら変えることはできません。では髪の色を変えたくなったらどうするでしょうか?大半の方は、美容室やあるいは自分で薬品を買ってきて、髪を染めると思います。糖尿病の場合も同様で、体質を変えようと思うとやはり薬を使うしかないのです。
当院では、よほど高血糖の場合でない限りは、まずは食事や運動習慣の見直しで治療を開始します。しかしそれでも十分に血糖が下がらないときや、糖尿病体質が強いと考えられるときは、やはりお薬の治療をお勧めしています。