早期治療の大事さ

Early Intervention For Diabetes

糖尿病予備軍は既に危険!

 糖尿病の合併症を予防し、健康的に生きていくためには、早期から治療しなければいけないことをお伝えしました。ではどれくらい早期から治療すれば良いのでしょうか??実は糖尿病になる前から既に合併症が進んでいることが分かっているのです。
 
右の図をご覧ください。これは舟形町で行われた研究で、健康な方、糖尿病予備軍の方、糖尿病の方がそれぞれどれくらいの割合で、心血管疾患(狭心症や心筋梗塞)でお亡くなりになるのかを観たものです。もちろん糖尿病の方が一番病気になりやすいのですが、なんと糖尿病予備軍の方でも、健康な方よりも2倍以上も病気で亡くなっていることが分かります。

世界中で行われた様々な研究で、同様のことが確認されています。ですから、糖尿病予備軍から既に合併症で亡くなる方が多い、というのは紛れもない事実なのです。

糖尿病予備軍のうちから治療が必要

 では本当に糖尿病予備軍のうちから治療をして意味があるのでしょうか?それはもちろんあるのです。

 今度は別の研究結果を見てみましょう。こちらはカナダやドイツなど複数の国で共同で行われた研究です。糖尿病予備軍の患者さんを集めて2つのグループに分けました。片方のグループにはアカルボースという薬を飲んでもらい、もう片方のグループにはお薬を飲まずに生活習慣の改善だけに取り組んでもらい、どちらが健康的だったかを調べました。その結果、なんと薬を飲んだグループは飲まなかったグループに比べ、心臓病が約半分に減っていたのです。つまり、糖尿病予備軍のうちから治療することで、病気を減らすことができるのです

(※ただし日本では現在、アカルボースは糖尿病予備軍に対しては保険適応となりません)

早めに専門医へ!

 糖尿病になってからの治療では既に遅く、予備軍のうちから治療しなければならないことが、分かって頂けたと思います。ですから糖尿病は予備軍のうちに見つけることが大事なのです。

 しかし、健診にもよりますが、きちんと予備軍のうちに見つけてくれる健診は意外と少ないのが実情です。健診を受けたら、結果が「要受診」になっているかどうかにかかわらず、ご自身で検査結果をみて判断しましょう。空腹時血糖が110mg/dL、もしくはHbA1c6.0%以上になった場合は、ぜひ受診して詳しい検査を受けましょう。HbA1cが5.6~5.9%であったとしても、他に脂質異常症や高血圧症の病気をお持ちの方、腹囲もひっかかっている方、家系に糖尿病の方がいる方などは、やはり早めの検査をお勧めします。

  あまり糖尿病に詳しくない医療機関を受診してしまうと、「まだ予備軍だから治療しなくても大丈夫」なんて言われてしまうこともあります。しかしそれではいけないことは、このページを読んでいただいた方ならお分かりだと思います。
糖尿病予備軍を早期に見つけ、適切な治療を受けることで重大な病気を予防するため、ぜひ一度専門医のアドバイスを受けることをお勧めします

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