甘いものは血糖を上げやすいと習ったことがあるかもしれません。確かにそれは正しいです。ではなぜ低血糖時には甘いものではいけないのでしょうか??
まず、血糖と呼んでいるものは、実は血液中のブドウ糖です。砂糖ではありません。低血糖とは、血液中のブドウ糖が不足した状態です。放置すれば最悪意識を失って死に至る可能性があることは、前回説明しましたね。早ければ最初に症状を感じ始めてから10分以内に意識を失ってしまう場合もあります。ですからいかに速やかにブドウ糖を供給するかが大事なのです。「甘いもの」は確かに普通の食事よりはずっと血糖を上げやすいのですが、この素早さが足りないのです。
一番良くないのが、洋菓子やチョコレートです。これらの食品は油分を多く含んでいるため、胃腸の動きを遅くし、糖分が速やかに吸収されないのです。吸収が間に合わず低血糖が重症化してしまう恐れもありますし、低血糖がおさまるまでこれらの食品を摂取すれば、低血糖が治まったあとに逆に高血糖になってしまう恐れもあります。また無駄にカロリーも高いです。
和菓子、飴、砂糖のような油分を含まないものはいくらかマシですが、これらに含まれている糖分はブドウ糖そのものではなく、そのままでは吸収できません。いったん腸で消化されることではじめて吸収されるようになるので、消化の時間がどうしてもかかります。さらに糖尿病薬にはこれらの糖分の消化を邪魔するものもありますので、内服しているとますます吸収に時間がかかります。
唯一、ジュース類だけは、ブドウ糖が手元に無いときに代用しても良いでしょう。ジュース類には果糖ブドウ糖液糖といって、既に消化されたブドウ糖が含まれているうえ、水分なので速やかに吸収されるからです。ただし半分は果糖なので、ブドウ糖だけの場合と比べて倍の量を取らないといけません。種類にもよりますが、最低でも200mL、できれば350mL飲む必要があります。速やかに飲む必要がありますが、ご高齢の方や女性だと一気飲みするにはちょっときつい量ですね。またノンカロリーのジュース類は血糖を上げませんから、間違ってしまうと危険です。