Hbは、ヘモグロビンと読みます。血液の中の赤い成分です。血が赤いのは赤血球と呼ばれる細胞が血液の中にあるからなのですが、赤血球が赤いのはこのHbと呼ばれる物質を豊富に含んでいるからです。Hbが低いことを「貧血」と呼びます。基準値は年齢や性別にもよるのですが、おおむね11~12g/dL以上が正常です。
なぜ糖尿病で貧血の値が重要かといいますと、HbA1cにかかわるからです。HbA1cは「Hbのうち何%に糖が結合しているか」を見る検査です。ですから、Hbそのものの値が正常でないと、HbA1cも正常でなくなってしまうのです。例えば、貧血の時にはHbA1cが本当の値より低く出ます(※)。Hbをチェックしていないと、「今回はHbA1cが下がっているので、きっと血糖が良くなったんだな」と思っていたら、実は貧血になってしまっているだけで、実際の血糖は全く変わっていなかった、ということもあり得ます。ですから、HbA1cがきちんと正確な値になっているかを判断するために、Hbも必ずセットで測定するのです。
(※教科書的には、急性貧血の貧血の際にはHbA1cは本当の値より低く出るが、慢性貧血の際にはむしろ高めに出る、となっています。しかしあまり貧血でHbA1cが高めに出るのを見たことがありません)
なお検査結果には白血球数、血小板数なども載っているかもしれません。これらの項目は糖尿病でとても重要というわけではないのですが、Hbを調べるときはHbだけを調べることができず、必ずこれらの項目もセットで結果が出てきてしまうのです。「どうしていつも正常なのに毎回調べるんだろう」と思われるかもしれませんが、実はそういう事情があります。